私的利用と同一性保持権



著作権法第20条(同一性保持権)

1 著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。

2 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する改変については、適用しない。

  一 第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)、第三十三条の二第一項又は第三十四条第一項の規定により著作物を利用する場合における用字又は用語の変更その他の改変で、学校教育の目的上やむを得ないと認められるもの

  二 建築物の増築、改築、修繕又は模様替えによる改変

  三 特定の電子計算機においては利用し得ないプログラムの著作物を当該電子計算機において利用し得るようにするため、又はプログラムの著作物を電子計算機においてより効果的に利用し得るようにするために必要な改変

  四 前三号に掲げるもののほか、著作物の性質並びにその利用の目的及び態様に照らしやむを得ないと認められる改変


この条文によると、著作権者に許諾を得なければ著作物を改変してはならないという。

一部例外があって、ソフトウェアや建築物、教育に利用する場合は除外される。 それ以外の改変はいかなる理由があるにせよ、著作権法の同一性保持権を侵害しているらしい。


はてなの質問で、同一性保持権に関する回答があった。 

「着メロに楽曲の一部を携帯に取り込む」

「DVDの音声だけを分離して、音楽プレイヤーで聞く」

「DVDプレイヤーから映像の一部を取り出して自分で楽しむ」


全てにおいて同一性保持権の除外規定にはあたらないので厳密にいえば、この三件は著作権法違反に当たる。
しかし、個人が他人の著作物を私的利用する場合は、著作権法の適用外となるという規定もある。
個人が他人の著作物をそのまま使う事があるだろうか? 例えば、漫画のキャラクターで同人誌を作ったり、
パソコンで着メロを作って、携帯電話にダウンロードしたり、教材DVDの音声を抽出したり…
全てにおいて同一性保持権を主張すると、個人は何もできないのではないだろうか?


もちろん、法律は守らなければならないが、個人が第三者に改変した著作物を譲渡したり公開せず、個人の
責任において利用する場合でも同一性保持権が認められるのか?
勝手な論理かも知れないが、個人が自身の責任においての改変で、なおかつ第三者に公開をしなければ、自由に認められるべきものではないだろうか?
私は法律家ではないので、明確な答えは出せないし、ネット上でも同一性保持権と私的利用の関係が載っているものは、今の処存在しない。


唯一、コナミときめきメモリアル」で登場人物のパラメータを不正改造し販売した会社が、同一性保持権の侵害に当たるとして、裁判になったぐらいである。 
この件は、あくまで改造データを販売した為に、ゲームのキャラクターの性質が変わった事が同一性保持権の侵害に当たったらしい。


http://www.cc.matsuyama-u.ac.jp/~tamura/tokimekisofuto.htm
2001年2月13日最高裁第3小法廷判決 平成11年(受)第955号 損害賠償等請求事件



この件と私的利用は根本的に違う。「同一性保持権と私的利用」この問題に明確に答えを出してくれる人は居ないのだろうか?