美食の父と粗食の私


私の父親はもう73歳になろうとしているが、未だに食へのこだわりを捨てていない。
元々父は食道楽なところがあり、若い頃から高いもの(特に寿司)を好んでいたらしい。
昔、私がまだ2歳か3歳の頃の話だが、一番上の兄(2歳上)は、父に連れられて高い寿司屋に良く連れて行ってもらって、トロばかり食べてたらしい。 その為か一番上の兄も父と同様に口が奢っていたらしい。
(母親から聞いた話です。)

私と一つ上の兄は、高い寿司屋なぞ連れて行ってもらった事もなく、大きくなるまで寿司が食べれなかった。
私はその後、回転寿司でイカや玉子など子供が食べるネタは何とか食べれる様になったが、未だにマグロのトロを始めとする赤身の魚や、ウニなどは食べる事ができないでいる。

父親と亡くなった叔父は、よくお姉ちゃんを引っ掛ける(今でいうナンパ)をする際には、「新世界でフグ食べへんか?」と女性を誘っていたらしい。 そういうトコロにも父の食道楽を垣間見れる。



話は変わって、現在は父親と同居している。 父は三度の食事の内、朝は行きつけの喫茶店でモーニングを食べ、昼と晩ご飯は、デイサービスの昼食を除き毎日私が作っている。
歳を取っても、味覚だけは変わらないらしく、毎日の晩酌は「アサヒ スーパードライ」と決まっている。 間違っても安物の発泡酒は絶対飲まない。 晩酌のおつまみも近所の定食屋で買ってきた魚(サンマや鯖の塩焼き、鯖の味噌煮など)でないといけない。 スーパーの安物のお惣菜は論外である。刺身にしても必ずマグロだ。

豆腐や天ぷら(練り物)もきちんとした物を好む。 1丁60円の豆腐なぞ見向きもしない。(私は1丁60円の豆腐が大好きである^^)
冷奴の生姜にもこだわっている。 必ず生生姜を食べる度にすり下ろさねばならないで大変だ。
父曰く、チューブの生姜は香りが飛んでいるのでダメだそうだ。

夏になり素麺のシーズンになったが、やはり高級品の「揖保の糸」と高いめんつゆ(それもストレート)じゃないと食べない。(当然生姜は生)

こうして、私は毎日父の食事に悩まされている。 食事代は私の3倍である。 私だってたまには国産牛を食べたい。 しかし、豚肉と発泡酒で我慢する毎日である。